ご挨拶

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 水惑星地球に存在する水の中で、淡水はわずか数パーセントに過ぎないが循環していることでその持続的利用を可能にしています。水文学は、この水循環を中心的な概念とした理学・工学・林学・農学,さらには社会科学等の多領域にわたる学際性の高い学問分野で、基礎水文学・一般水文学に加え,社会経済水文学,および水文誌等の分野を包含しています。日本水文科学会は1987 年6 月に創立され、自然科学的なアプローチをベースとして水文学に関する研究を推進させ,会員相互ならびに国際間の学術交流を図ることを目的に、現在,約200 人の個人・団体会員を擁し,大学・研究所の研究者,民間の技術者を中心に,中・高校の教員,官庁の実務担当者,学生・院生などの広い層の会員から構成されています。
 20世紀後半の科学技術の著しい発展と共に、水循環プロセスの解明を目指した水文学的な研究も大きな進歩があり、今日では水循環プロセスに係る現象解明に加えて、その枠を飛び出して現代社会が抱える技術的な側面のみでは解決が困難な水に関わる課題への貢献も求められてきています。これらの課題解決には,より広域的な視点から地域の自然特性や環境を捉えることが重要で、水資源の開発と統制に関する問題にみられるように,基礎科学的な発想に立脚する水文科学は,環境に配慮したいわゆる問題解決型の科学として、これから益々その存在意義が高まるものと考えています。全球温暖化に伴う変動が激しくなりつつある水循環の場と、益々高度・複雑化する人間活動の双方をカバーして水循環を科学的に解明することを目指している水文科学から、社会的な要請にも重要な情報を提供してゆくことを目指しています。
 若年人口が減って社会が高齢化しつつある我が国においては、大学や学会もまたその構成人口の減少に悩まされており、日本社会全体が次世代に向かっての道を模索している状況が続いています。日本水文科学会も同じ波に巻き込まれており、会員200名前後まで減少してしまった本学会の会長職を2016年度より新たに引き受けることになりましたが、純粋基礎科学だけではなく社会的な要請も強い水文学にかかわる学術団体の将来を見据えつつ奮闘してゆきたいと思っています。会員諸氏の全面的なバックアップをよろしくお願いします。                        日本水文科学会 会長 嶋田 純
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